建設アスベスト東北訴訟提訴にあたっての声明

2020年8月26日
建設アスベスト東北訴訟原告団、建設アスベスト訴訟東北弁護団

 

 本日、私たちは、建設現場でのアスベスト使用による健康被害に関する損害賠償を求め、国及びメーカー12社を被告として、仙台地方裁判所に訴えを提起した。

 これまで、同様の建設作業従事者のアスベスト被害に関する損害賠償を求める集団訴訟は、2008年の東京地裁への提訴を皮切りに、これまで7つの地方裁判所に提訴がなされてきた。被害者単位で900人、原告総数では1100人以上にも上る。東北地方における集団提訴は、今回が初めてとなる。

 アスベストは、日本では主に1960年代以降1990年代に至るまで幅広く使用されてきた。特に、建設業においては、安価かつ有用な資材として、危険性が知られるようになった後も使用が継続されてきた。アスベストを吸い込んだ者は、平均約40年と言われる潜伏期間を経て、石綿肺、肺がん、中皮腫などの疾患を発症することがあり、死に至ることも少なくない。今回の原告ないし原告の被相続人のように、建設現場で作業に従事してきた方が、東北地方にも大勢おられることは明らかである。他方、被害者の高齢化、又は被害者がお亡くなりになられることで、十分な救済まで結びつかないことも懸念されている。本日の提訴をきっかけに、今回の原告のみならず、より多くの被害者に対し、幅広く救済が行われることも期待する。

 先行している他地域の訴訟においては、国や建材メーカーの責任を認める判断も多くなされており、まもなく最高裁判所の判断も示されるとも言われている。私たちは、訴訟の全面勝訴を目指し、併せて、すべての建設アスベスト被害者の早期の全面的な救済とアスベスト被害の根絶に向けて、全国の原告団・弁護団と連携して取り組むことを表明する。